ご挨拶

日本医科大学 細胞生物学分野
岩井 佳子大学院教授
Yoshiko Iwai

ご挨拶

 2017年10月1日より日本医科大学大学院医学研究科・細胞生物学分野・大学院教授に就任しました。私は東京医科歯科大学医学部を卒業後、京都大学大学院で本庶佑教授に師事し、免疫チェックポイント分子PD-1の研究に従事しました。大学院時代に作成した抗ヒトPD-1抗体は後のニボルマブとなり、世界的ながん治療のパラダイムシフトを起こしました。いつか自分の研究が医学に貢献することを夢見て研究者になりましたが、思いがけず早期に実現して大変うれしく思っております。

 抗PD-1抗体は約20%のがん患者さんに有効ですが、効果が低い患者さんもいらっしゃいます。その治療効果の鍵を握るのが、記憶T細胞です。記憶T細胞は、がんや感染症などから生体を守る重要な役割を果たすとともに、自己免疫疾患やアレルギー、生活習慣病などさまざまな病態にも関与しています。良質な記憶T細胞をつくることができれば、T細胞を増やす作用のある抗PD-1抗体と組み合わせることによって、より治療効果の高い免疫療法を開発することが可能となります。

 本研究室では、免疫記憶に関する研究を行っています。特に、免疫記憶の個人差がどのように生まれるのか、という問題に興味を持っています。免疫記憶の個人差や多様性を研究するには臨床研究が欠かせません。本研究室では基礎研究と臨床研究を横断的に展開して、臨床データから着想を得て仮説を立て、分子生物学的手法などを用いて実験、証明を行うことにより、実臨床に役立つ研究を目指しています。

 私は二人の偉大な恩師(本庶佑博士2018年ノーベル生理学医学賞、Ralph M. Steinman博士2011年ノーベル生理学医学賞)に出会って、研究の喜びを知りました。学生さんには、研究を通して自らのアイデアを証明する楽しさをぜひ知ってもらいたいと考えています。科学的な疑問は尽きることがありません。免疫チェックポイント阻害剤の開発は一つの通過点として、さらなる探究を続けたいと思っています。

 研究には新しいことに挑戦する勇気と情熱が必要です。私たちと一緒に、さまざまな疾患に対する新しい診断・治療法の開発を目指して、免疫記憶の謎に取り組む研究者を募集しています。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。一緒に研究しましょう!

岩井 佳子


略歴

1996年 東京医科歯科大学医学部医学科卒業

1996年 東京医科歯科大学医学部附属病院研修医

2002年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了

      博士(医学)取得(本庶研究室にて)

2003年 京都大学大学院医学研究科助手(本庶研究室)

2004年 Rockefeller大学Ralph Steinman研究室

      ポスドク研究員(日本学術振興会海外特別研究員)

2007年 東京医科歯科大学難治疾患研究所 特任講師

2011年 東京医科歯科大学医歯学総合研究科 准教授

2013年 産業医科大学医学部分子生物学 教授

2017年 日本医科大学大学院医学研究科 細胞生物学分野 

      大学院教授