研究内容

インビボイメージングシステムを用いた免疫細胞遊走の解析

図4 インビボイメージングシステム

左:脳血液関門 右:肝臓類洞内皮細胞


 生体内で多彩な生命活動を維持するためには、様々な細胞がそれぞれ適切なタイミングで適切な場所へ“動く”ことが重要です。この細胞の“動き”は細胞・臓器毎にケモカイン、補体、脂質メディエーターなどのchemoattractant分子によって厳密に制御されています。

 細胞遊走は自己免疫疾患を含む炎症性疾患の基盤であり、その阻害療法は様々な炎症性疾患モデル動物で有効性を示し、次世代免疫療法の一つとして期待されていますが、未だ臨床に応用できるレベルに到達していません。その理由としては従来の組織・臓器固定による形態学的解析では細胞の“動き”を捉えることができないため、その遊走制御機構の解析が困難であることがあげられます。

 近年、二光子励起顕微鏡の登場で生体イメージング技術は飛躍的に進歩し、生きたマウスの組織内における細胞の“動き”をリアルタイムに観察する事が可能となりました。そこで、宮部講師は、米国留学中に、生きたマウスの関節組織をリアルタイムに解析する関節内インビボイメージングシステムを構築し、関節炎における免疫細胞の遊走制御機構の解明に挑戦してきました。当研究室では、この最新技術を応用して、CNSループス(中枢神経症状を呈する全身性エリマトーデス)や、がん転移における免疫細胞の遊走機構の解明に取り組んでいます。